「品質マニュアル」はマネジメントシステム(仕事を実行するための仕組み)を文書化したものです。
要求事項を読みながら自分の会社に沿った形に落とし込んでいくと、どうしても圧巻になってしまいます。
50ページもの品質マニュアル。またそれだけに終わらず、何冊もの規程類を作っている会社も数多く見られます。
ISOを取得し始めたのは大手企業が最初です。
大組織は元々諸規程が事細かに定められており、それをISO取得のために再整理していく。
そのため、どうしても「重量級ISO」になってしまう。
中小企業はそれをみてISOを作るので、組織は小さいのにマネジメントシステムは大企業並み、といったアンバランスの形になってしまう。
「品質マニュアル」は人間と同じで、太るのはたやすいが、一度太った体をスリムに変身するのは非常に難しい。
審査上はそれでも全く問題はないし、むしろ、「立派なものを作りましたね」と褒められる場合もある。
だから肥満体をそのまま何年も維持するようになる。
最近ISOの2015年版への改訂を依頼されることが多い。
50人以下の製造業が多いが、会社のマネジメントシステム全体を図解化して整理していくと、QMも20ページ以内に収まってしまう。
「非常にスッキリしました」 と喜んでもらえるのだが、元々スッキリしていた仕組みにわざわざぜい肉をつけまくっていたものをそぎ落としただけなのだ。
何もかもルール漬けにしたらいいというものではない。
軽トラでいいものを、ダンプカーをチャーターする必要は全くないのです。
自分の身の丈に合ったシステムを作って、PDCAを回しながら、会社を段階的に成長発展していくという目的を忘れ、手段に振り回されてはいけないのです。