不良品が毎日のように客先に流出している。
クレームの電話も鳴りっぱなし。

このままでは客先からの信頼がなくなって、取引が停止されるかもしれない。

製造課に任せてはおけないと、工場長が自ら対策に乗り出した。

先ずは「現状分析」。次に「重点項目の絞り込み」。そして「原因分析」と「対策立案」・・・と、QCストーリーに沿った実行計画を立てて、製造課長に指示した。

ところが一か月経ってもクレーム数に変化の兆しはない。

製造課長を呼んで対策の進捗状況を確認したら、現状分析のやり方が分からないので、第1ステップで止まっている。

一か月も管理を放置していた工場長も問題だが、やり方が分からないからといって仕事を全く進めていない製造課長の態度もあきれたものである。

これは製造課長に改善技術を教育していなかった側にも問題があるが、不良品を客先にリリースすることで相手がどんな迷惑を被るか、十分理解させていなかったことに問題がある。

改善技術は勉強すれば体得できる。
人間は感情で動く。

何としても改善しなければならないという切迫感が湧き上がってこなければ、折角の技術も日の目を見ることはない。